約束は森の中~導かれて~
「今日の記憶は俺が預かるから」

 青年は目を瞑り、呪文を唱えます。

 唱え終わった後は
 ゆっくりと目を開けました。

 ひたいから手を離し、

「預かるだけだから、時期が来たら返すからな」


 耳元で艶を含んだ声音で語りかけます。




 青年は自分の小指を見つめます。


 イブとゆびきりをした右の指を。

 そして、
 自分の小指に唇を寄せました。

 それから、

 イブの右手を取り、
 小さくて柔らかな小指に、

 愛おしそうに、

 ゆっくりと



 くちづけを落としました。

 
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