†あたしだけが知ってる† ~どうしようもないくらい好き~
  「着いたな!!!!」


  そう言った後に翔太は
  あたしが想像してた通りの
  言葉を言った。


  それが可笑しくて。

 
  ついあたしは笑ってしまったよ。


  あたし達は誰もいない球場で話を
  した。他愛もない話を。


  たくさん話して。


  話の合間にキャッチボールもして。


  小さな地元の球場はあたしにとって
  最高の場所なんだって再確認したの。


  のんびりと優しい時間が流れて。


  時が過ぎるのも忘れて。


  ただあたし達はずっとそこに
  いた。


  一人ではどうすることも出来ない
  苦しさをやわらげてくれたね。


  『学園祭には出られない』
  そう言ったら翔太はどうするだろう?


  そんなことを考えて。
  でもすぐにやめた。


  翔太にはいえないから。


  この心優しい幼馴染が黙って
  あたしを食事会に行かせるなんて
  ありえないだろうから。


  きっと怒るだろうから。


  それに何より、この時間をそんなこと
  で邪魔されたくないんだよ。



  


  
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