カタキに恋をした。

一体何者だ?




『暴走族嫌いなのでっ!!』



あながち間違ってはいない。


が。


根っからの暴走族嫌いってワケでもない。


まぁ、ようするに半分正解で半分間違い。

あたしは、暴走族やヤクザに対して特に偏見はない。

だけど…まぁ、カズサの《趣味》の対象だからね。


あと、喧嘩を売ったり買ったり。

そうやって、自分から傷を作りに行くところが嫌い。


もうちょっと自分を大切にしなさいよ!!!!!


…って思わなくもない。

第一、あの雲龍の皆さんに関わったら、ファンクラブになに言われるか分かったもんじゃない…!



ここは身を引くのが一番良いってものよ。







…大丈夫、だよね?


あれで納得、してくれたよね?





あれで、納得───────…




─────────
──────
───…



時雨「するわけないだろバカッ!!」


…ですよねー。



時雨「楓が嫌いでも、俺達はこれから傷つくヤツを放っておくことなんてできねぇんだよ!!」

わぁ、東雲さんとってもカッコいいこと言ってる…。


けども。


「なんであたしの家知ってんですかッ!!」


玄関の前にいること自体が問題なのだ。





──────…


あれから家に帰り、お風呂に入って寝る頃にはすっかりそのことを忘れていたあたし。


そして、朝起きる。

朝食を食べ、今まさに出かけようとしたとき。


タイミングを見計らったように…



ピーンポーン...

(誰だろ…?)


「はぁーい」

ガチャッ


「はぁぁああぃぃぃいい!!!!!!!!!!?」





─────────…



…お分かりいただけただろうか。



時雨「陸がパソコン使ったらフツーに出てきたぞ。

ちなみに、陸はハッキングのプロだから。」


おたくの幼なじみは、なんちゅうスキルを磨いてんの!?

なに、将来の就職先はスパイか情報屋かなんかですか!?



誠「いーや、頭は俺の方が良いけどね。」

陸「誠、良い度胸だな。

この俺に豪語するとは…。

この俺よりも頭がいいと言い張るのなら、それを証明して見せろ。

まぁ、無理だろうがな。」


誠「それじゃ…コホン、



陸の左脳は右脳より大きく主に左脳の神経が細かいため記憶力が良いといえるがしかし記憶力がいいのは頭がいいと判断するのにはあまりにも軽率かつ論理的ではなくさらに正しいとは言えないため記憶力がいい=頭がいいというわけではないということでありそれは陸の頭脳が記憶力の良さによって成り立っていることは明白であってつまり────…」


(以下省略)

こんな文が出てきそうだ。

というか、出てきてほしい。



できることならこの無駄以外のなんでもない会話をたった四文字の終止符で終わらせてくれ!!


…といった願いは、黒田さんに受理される。



霧矢「やめろ。」


しかも、以下省略の四文字より少なかった…。






時雨「要点がずれたな。

じゃ、楓。

行くぞ。」


バタンッ




…思わず扉を閉めてしまった!!!





時雨〈おい、開けろ!!楓!!開けないと────…〉


開けないとなんだ!!

その疑問はすぐに解決された。



ダンッ



扉を押さえていた背中に、衝撃が走る。


…まさか、ドア蹴ってます?



顔が蒼白になってる間にも、背中の分厚い板はガンッ、ドンッ、と揺れる。



あたしは、観念してゆっくりと扉を開ける。


こっそりと隙間からのぞくと、蹴っていたのは櫻田さんのお兄さんだった。


そして、次の一発を構えているご様子。


「その足おろしてください!!

ご近所に迷惑ですし、変に思われちゃいますから!!」


介「ん?そぉか?」


キョトンとした顔で、櫻田さんのお兄さんが構えていた足を下ろす。


それにホッと一息つきながらも、なんとか弁解しようと試みる。


「あの、昨日言いましたよね?

結構ですって。」

時雨「俺さっき言ったよな?

嫌われてても傷つくヤツを見て見ぬ振りなんてできないって。」


…会話をしたいんですが。


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