フラグ

舞「お兄ちゃん!りんご飴!りんご飴買って!」

俺「よっしゃ!任せとけ!舞」

佐知子「お兄ちゃん!お兄ちゃん!ウチも綿菓子!綿菓子買って!」

俺「お前いつから俺の妹になったんや?」

佐知子「今から夏祭り終わるまで、あはは」

俺「なんちゅう都合ええ妹や!」

舞「さっちゃんやったら、お姉ちゃん欲しい♪」

佐知子「そやろ?そやろ?ほら!お兄ちゃん?」

俺「うるさいからいらんわ!あははっ」

佐知子「ぶーっ!」

舞「あははははっ!」

俺「子供か!?あははっ」


翌日、健太と花と田中に連絡を入れて当日俺の家で待ち合わせをした。


そして夏祭り当日、男子と田中は普通の私服で、舞、佐知子、茜ちゃんは浴衣姿でやって来た。


みんな揃ったので夏祭りに行く事にした。


女子は、やっぱり浴衣を着て嬉しいのかキャッキャッと騒いでいる。


ただ田中は、ちょっと暗かった。


俺は、止めとこうかと思ったが「田中は浴衣持ってへんの?」と聞いてみた。

「うん私、持ってへんねん」

「そっか、それってやっぱりお父さん関係あるん?」


みんなには、聞こえないように聞いてみた。

「うん・・・」

「なんか・・・ごめんな誘って・・・」

「んーん、誘って貰ったんは嬉しいし、川上君は気にせんといて!」


俺は、田中と義父の事をある程度は聞いていたし、心が痛んだ。

「うん、でも・・・」

「んーん、いいからほんまに、そんなんで誘って貰えへんほうが私嫌やし、みんなと居たいから」

「それやったら、ええんやけど・・・」

「いいから、気にせんといてって、夏祭り楽しもう!」

「おぅ!楽しむで!田中」

「ウフフフフ」


俺は、田中に夏祭りを楽しんで欲しかったから元気に振る舞おうとした。


夏祭りをやってる商店街に着いた。


俺は、さっそく舞にりんご飴を買ってやった。

「やったやったー!お兄ちゃんありがとう!りんご飴ー!さっちゃんりんご飴ー!」


舞は喜んで佐知子の方に行った。


田中も茜ちゃんに、りんご飴を買ってあげてた。

「ありがとう!お姉ちゃん!」と言って舞と一緒にりんご飴を食べてた。

舞と茜ちゃんは、佐知子と祭りを回っていた。


佐知子は、綿菓子買ったみたいで手に綿菓子を持っていた。


俺、健太、花、田中は、一緒に祭りを回っていた。

健太「祭り言うたら金魚すくいやな!」

俺「ええな!やろか!」


四人で金魚すくいに挑戦した。


田中「あ!もう破れた!えぇー!なんでー」


俺は、集中して無言でしていた。

健太「俺は、あのデカイのいくで!」


花も俺と同じで無言で集中してやっていた。


結果は、俺が五匹、健太が二匹、田中が一匹、花が十三匹だった。


花は、破れても金魚をすくい続けて一人だけ凄い数の金魚を持っていた。

花「すくうのはええんやけど、飼うのがめんどくさいな」

俺「佐知子に、やったら?」

花「明神飼ってくれるかな?」

俺「そういうの好きそうやけどな」

花「後で聞いてみよ」

田中「一匹だけ飼うのも・・・」

健太「まとめて明神にやるか!」

俺「全部で、何匹おる?」

田中「えーっと・・・二十一匹!全部足したら結構いるね」

花「明神ほんまに飼ってくれんのか?」

俺「まぁ聞くだけ聞いてみよう」


その後、ピストルの先にコルクを詰めて景品を落とすのをやった。


田中は見てるだけだったから「どれが欲しい?」って聞いてみた。


田中は「あの中やったらキャラメルかな?」って言ったからキャラメルを狙った。


意外に一発で落ちて田中にあげた。


やっぱりこれも、花は器用に落としていく、キャラメル二個とキャラクター物のぬいぐるみを取って田中に渡した。


田中「キャラメルいっぱい!ウフフ」


そう言えば、さっきから健太を見ない「花、健太どこ行った?」花に聞いてみた。

花「ん?そう言えば見いひんな」

田中「あれ、中嶋君やない?」


田中が指を指した方向を見ると、段ボール箱を持ってこちらに歩いて来る。

俺「健太どこ行っててん?」

健太「これ隆にやるわ」


手に持った段ボール箱を俺に差し出した。

段ボール箱の中身を見ると、ひよこが一羽「ピーピーピー」と言っていた。

俺「お前な、金魚で懲りろや、アホ」

健太「これで玉子には困らへんで」

花「ほな、お前が玉子食え!」

田中「うわー!ひよこ?可愛い!」

健太「やろ!?やろ!?これ、田中の為に取ってきてん!」

俺「嘘こけ!アホたれ!」

田中「飼うのはちょっと…」


さすがに田中も困っていた。

佐知子「あっ!いたいた!」

舞「お兄ちゃん見て見て!」


「バンバンバンバン!」フーセンヨーヨーだ。

俺「おぉ!ええな!茜ちゃんも持ってるやん」

茜「うん、自分で取れてん」

田中「茜、お金どうしたん?」

茜「さっちゃんに貰った」

田中「佐知子、お金いくら?」

佐知子「ええよ、そんなん」

田中「あかん!いくら?」


佐知子と田中は、水掛け論みたいになってたが最終的には佐知子がお金を受け取ってた。

健太「ああそうや!明神」

佐知子「どうしたん?」

健太「金魚飼わへん?」

佐知子「もしかして金魚すくいの?」

花「良かったらやけどな」

佐知子「ええよ♪ウチの家、金魚飼ってるし」

健太「ほんで、明神」

佐知子「まだなんかあるん?」

健太「お前、目玉焼き好きか?」

佐知子「えっ?目玉焼き?まぁ好きやけど」

健太「これで目玉焼き食い放題やぞ!ほら!」


段ボール箱を佐知子に渡す。

佐知子「いらんわ!あんたアホちゃうん?あはははは」

健太「目玉焼き好きや言うたやん」

佐知子「ほんなら、卵産んだら卵だけちょうだい、あはは」

花「正解やな、ハハハハハ」

舞「うわ!可愛い!」

健太「やろ!舞ちゃんあげるわ!」

俺「いらんわ!ハゲ!」

茜「ひよこや!可愛い!」

健太「そやろ!茜ちゃ」


健太が言い終わる前に田中は「中嶋君、いらんから!」


全員笑った。


1年以上してからだが、この中嶋のひよこはオスだったらしい。


しかも、朝4時から鳴き出すと嘆いていた。


それからは、みんなで祭りを回った。


みんなで、屋台で色々買って食べた。


ただ、ひよこの段ボール箱を両手で持っている中嶋は面白かった。


そうして、夏祭りも堪能して帰ることにした。


帰る途中佐知子が「あっ!そうや!バーベキューの話なんやけど、ウチのお父さんが盆休みにせぇへんか?って、みんな空いてる?」

健太「俺は、いつでもOK!」

俺「俺のところは大丈夫」

花「ええで」

田中「うん、大丈夫」

佐知子「ほんで、ウチのお父さんがやるなら隆ちゃんの家で泊まりでやらへんか?って」

俺「ええな、みんな俺んちで泊まって行けばええしな」

舞「楽しそう!」

田中「泊まりなら聞いてみないと分からへん」

茜「ええ!お姉ちゃん、あかんの?」

田中「ん-、どうやろう?お母さんに聞いてみんと分からへん」

花「夜だけ家帰るのも、ええんちゃう?」

俺「まぁそうやな」

佐知子「それはそうやな」

健太「決まり!花火もしようや!」

茜「花火したい!花火-!」

佐知子「美幸、日にちは14日の夕方からで聞いといて」

田中「うん、聞いてみる!行けたらいいな」


中学生の女の子、ましてや茜ちゃんもいるし無理は言えない。


そうこう話してる間に、俺の家に着いたので今日は解散になった。


佐知子も俺の家に一緒に入って来た。


一息ついて佐知子が
「バーベキュー、隆ちゃんのお母さんも参加させたいからって、お父さんとお母さんが泊まりでって言い出してん」

俺「あぁそうか、夜遅くには帰って来るからな」

佐知子「ウチのお母さんも、隆ちゃんのお母さんとお酒飲みたいみたいやし」

舞「やった!お母さんと一緒にバーベキューや!」

俺「最近、母さんもまた忙しいみたいやから、佐知子のお母さんと会ってないんちゃう?」

佐知子「そうみたい、ウチのお父さんもお母さんも心配してた」

俺「俺も心配やけど、俺らが寝てから帰って来て起きるくらいには仕事行くからな」

舞「お母さんに全然会えへんもんね?」

佐知子「寂しいね舞」

舞「お兄ちゃんいるし大丈夫、ほんでさっちゃんも毎日来てくれるし」


そうは言ってても、舞はまだ小学校四年生だから寂しいのを我慢していたと思う。


母親は、父親が亡くなってから俺達が生まれる前にしていた弁護士を復帰した。


休みもあまり無く、朝早くから夜遅くまで仕事をしていた。


翌日、田中に連絡したらやっぱり茜ちゃんがいるから、夜には帰って来るように言われたらしい。


夜に家に帰って次の日の朝には、また行くとの事だった。


佐知子がご飯を作りに来た時に、その事を佐知子にも伝えたら、佐知子も残念そうだった。


盆休みにはバーベキューもあるし、みんな集まって夏休みの宿題を一気に終わらせる事にした。


全員、教科別に終わらせて後はみんなで写し合うという作戦を取ったがやはり丸1日かかった。


佐知子「あぁーー!!やっと終わったぁ!」

健太「遊びまくるぞー!」

花「みんなクラスが違うから、まさか写してるのはバレへんな」

田中「ちょっと…悪いことしてる気がするけど…」

俺「ほんまに、やっとって感じやな」

佐知子「美幸、気にしない気にしない!」

俺「そうそう!田中きにすんな!」

健太「ほんまほんま!こんなもん、まともにしてたら、夏休み終わってしまうで」

花「これで心おきなく、好きな事出来るな!ハハハ」

田中「ん-、確かにそうなんやけど…」


妙に真面目な田中以外は、みんな喜んでいた。


田中だけは、夏休みの宿題を半分くらいは自力で終わらせていた。


写したとはいえ、やっぱりしんどかったが楽しい事ばかりでも楽しくない気がする。


だから1日くらいは、こういう事も必要だと思った。


そして待ちに待った盆休みがやってきた。

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