はるこの遅咲☆妄想日記
「お会計は1800円になります。」その彼は、いつものバイトくん。

小向って名札に逢えるのは金曜日限定。

だいたい1ヵ月も同じ時間に通ってたら、覚えちゃうよね。

でも、コンビニの店員なんてお客のことまで覚えてないものよ。

私はいっつもマスクしてるしね。

レジ袋にどっさり詰め込まれた今宵の酒とつまみ。

小向くんもきっと私のことなんて、ただの寂しいオバサンにしかみえてないよね。

私は、相変わらず無愛想に清算を済ませ、コンビニを後にした。

「ふ~・・・。変わらずだな。今夜も。」借りていたDVDを見始めた。

テレビでは飽き足らず、最近は恋愛ものもDVDばかり見てる。

それらを見てはおいおいと泣く。軽く涙活なんかしてて・・・泣いてスッキリしているのが快感だったりする。

「あっ・・・今日までじゃん。」レンタル返却が今日だったなんて。

時計を見ると、夜10時を回っていた。

「もう・・・」私はお酒も回っていて、ほろ酔いだった。「なんで今日なの?」そんなことを言いながら、

その日はなんとなく、夜のDVDレンタル店に足を運んでいた。

夜にこんなところあまり来ないから、なんだか賑やかで。私はちょっとワクワクしていた。

借りたDVDを返すだけだったのに、いい気分で店内をウロウロ。

もちろん、次も恋愛ものを借りたいからって、探してたんだっけな・・・。

酔った矢先に来てしまったから、なんだかタイトルすらじっくり読めない。

うつろうつろな私に一人の男性が。

「今晩は。」それはあのコンビニの店員。小向くんだ。

「あれ?あ・・・どうも。」私は、顔もうっすら赤いし恥ずかしくなってとりあえず逃げたかったけど

小向くんはついてくる。

「大丈夫ですか?」

「う・・・うん」そういいながらも私はうつろうつろ・・・。

私と小向くんは店内をぐるぐると見て回った。

「小向くんはもう仕事上がったの?」

「ハイ」

「家・・・・近いの?」

「ハイ」

小向くんのことこうして聞いているなんてそれも信じられなかった。

「何借りに来たの~?」

「何がいいですかね?」

「そうだね・・・」私たちは、またそんなことを言いながら店内をぐるぐる歩きだして・・・

今までみた映画の話なんかしだして意気投合していた。

「良かったらウチで・・・見る?」急に私ったらそんなことを言っていたみたい。

小向君は一瞬うつむいていた。

「あ・・・ごめん。冗談だって」・・・



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