はるこの遅咲☆妄想日記
11 お帰り
#11  お帰り



いつも思ってた。

私が寂しく思うのは

きっとこの家に帰ってきても

「お帰り」って言ってくれる人がいないから。

だから・・・

今日もこうしてまっすぐ帰らず

仕事帰りにジムでランニングしている。

仕事でヘトヘトなのに・・・

もう帰ってグテーってしたいのに・・・

なんで私はこうも真剣に

バラエティー見ながらめっちゃ真剣に走っているの?

周りを見渡せば

そんなストイックな女子たちであふれている。

「もうイヤ・・・こんな生活・・・」

金曜の夜は特にそう思うの。

誰とも逢わない週末の夜

私はジムのお風呂に浸かって

それからサウナに入って・・・

あとは寝るだけ。って恰好でジムを後にした。

「はぁ・・・」車を運転していても

向かうは我がアパート。

誰もいない部屋。

コンビニに寄って、ビールとおつまみを購入する。

「ビール?・・・いや・・・今日は赤ワインで。」

たまに生理前に急に飲みたくなる赤ワイン。

パスタに、チーズに・・・

そうそう・・・なぜか生理前にはイタリアンなんだっけ。

レジを待っていると

前にいるのは若いカップルだった。

「これからデートかぁ」

その後ろで繋がれた手

男のほうが指を絡めている。

それに反応する女の子。

「キャっ」て寄り添う。

「ほうほう・・・いいね~・・・」私はその手に食い入るように・・・

「2番目にお並びの方、こちらにどうぞ」店員から言われると

ハッとした。

「お願いします・・・」その先にいた・・・

その店員とまさか私は今夜一緒に過ごすなんて

すっかりノーメークだったのを忘れるところだった。



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