はるこの遅咲☆妄想日記
「佐紀。おまたせ」川田は私の背後にきて

ギュと抱きしめてくれる。

「おまえだけなんだ。こうやってできるの。」

2年という月日は私たちの絆をいっそう強くしているのか

私は、その彼の気持ちも愛おしくてたまらない。

私は彼にされるがままを受け止める。

「今日はたっぷりできるな。」そんな挑発的な言葉も嬉しかった。

いつも、お互いの仕事の合間をぬって時間を合わせ

短時間で逢瀬してきた。

「いつか、旅行したいね。」わたしの願望をこうして叶えてくれている。

でも、どんなに肌を重ねても

私たちは、不倫の関係。

行く末などなかった。

一時の情愛に

溺れてしまっているだけ・・・

私たちは、夕食までの時間

温泉街を散歩していた。

「こんな険しいところ大丈夫?」

断崖に向かう小高い林の中に

吊り橋がかかっている。

「おいで・・・佐紀」

川田はその橋の上で私を招く。

一瞬、その橋そのものが

私たちの恋路と重なってしまって

私はふと涙がこぼれた。

川田の手を取ってしまったら

私はまたこの危ない橋を渡ってしまうのかと・・・

橋の先にあるものってなに・・・

私は一歩一歩進んでいく。

川田の声も

その温かい手も好き。

でもいつか終わってしまう不安も耐えられない・・・。

結局

私はまた川田の手をとった。

まだまだ、この手は離せそうもない・・・

「佐紀。愛してる」

川田の深い愛情は

この旅行でも溢れるくらいの情熱。

唇は腫れ上がるんではないかというくらい

私はキスをし

カラダ中にはそのマークがアザとなってしまうくらいに・・・

川田の安堵感に包まれたその笑みは

私を和ませる。

東京駅につくと

私たちは旅館のレシートを始め

全ての痕跡を消した。

そしてまた自分の家に戻っていく。

今年の旅行もこうして終わった。

川田との思い出だけは

消されることはない

私だけの秘密だから。



~はるこメモ~

不倫旅行って実現できるんですかね~?

橋と恋路が重なってしまう女心はせつない。

手をとってしまった佐紀は

まだこの不倫・・・やめられそうにないですね。

素敵なんだろうな・・・川田って男。

いいわ~☆

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