*約束期限*
*真衣side*
距離が近くなって、自然と笑顔になる。
「桜庭く――」
後ろ姿に声を掛けようとして、やめた。
反対側から誰かかわいい子が走ってきて、桜庭くんに抱き付く――。
身動きが取れなくなる。
その光景を見ていると、女の子と目が合った。
「っ――」
すぐにうつむく。身体が動かない。
「・・・行くぞ」
涼介に手を引っ張られ、桜庭くんに背を向ける。
どんどん人通りの少ない方へ進んでいく。
桜庭くんとは、全然違う手。
安心感があって、ほっとする――
「・・・うぅっ」
初めての気持ち。
『好き』
っていう特別な気持ち。
それがこんなすぐに壊れちゃうなんて・・・
「真衣」
涼介に、そっと抱き寄せられる。
しばらくそのまま、あたしは目を閉じた。