弱くてごめんね……
――引っ越しの日――
朝起きると少し雨が降っていた。
私と母さんは朝一番の高速バスに乗るために駅前のバス乗り場に急いだ。
起きた時は少しだった雨が段々と強くなる。
まるで、この土地がお別れの挨拶をしてくれてるみたい。
でも、まだ全然実感がないな。
そんなことを思いながらバスを待つ。
予定より数十分遅れてバスが来た。
辛いことも多かったけどいい人にも出会えた。
この街もちゃんとちゃんと好きだったんだな。
私はふとそうを思った。
今頃気付くなんてね……
私は振り返らずバスに乗り込んだ。
私はとても大きな一歩を踏み出した。