満月~full moon~
調べたところで、黒幕の存在は分からなかっただろう。
本人が必死になって隠していたから。
「大知が寝たのは、今言った黒幕の方なんだ」
「えっ……!?」
俺の言葉に驚いて、彼女は言葉を失った。
「俺は、大知と親友だった。だから、真実を聴いていた。
だけど、それをみんなに言うことは出来なかった」
「何でっ!?
それが本当なら、お姉ちゃんが殺される必要なんてなかったじゃない!!」
とうとう彼女は俺の前まで来て、胸ぐらを掴んできた。
そして、必死に訴えるように体を揺らしてきた。
「俺は、黒幕の人に弱みを握られていた。そのため、言えなかったんだ。悪い……」
「そんなっ……」