小指も抱けない彼女
「聖がそうなったのは、きっと、俺のせいだ」
加害者が己の罪を認めたところで、許される訳がない。
独白は、口にせずともいい欺瞞だ。
許してほしいと言っているのと同じなのだから。
「俺が、君とずっと一緒にいたいと願ったから」
君の涙の原因は俺。彼女を泣かせる奴あらば、刃物の一つでも持ちたいが、首を切らなきゃやはり許してもらえないだろうか。
「ごめーーいっ」
指先に痛み。見れば、聖が噛みついていた。
小鳥にでもつつかれたような刺激だった。
「違うよ、これは私のせいなのです」
腕を組む聖の言葉には、ハテナを浮かべるしかない。
「私の願いを、神様が叶えてくれたのです」
ふざけた敬語を交えながら、聖は言う。
もうしかして、聖も内心、俺と一緒にいたいとーー
「最近、コンビニで贅沢スイーツなるものが出てね。その中の一つに、こーんな小さいプリンがあるんだけど、お値段がコンビニに不釣り合いな価格なんだー」
「え、と」
「でもでも、食べてみたら、質より量派の私が、量より質派になっちゃうほどのおいしープリンでね。ぽつぽつ買っていたんだけど、物足りない。こんな美味しいプリンを『もー食べられないっ』と言えるほど食べたくなったのですよ」
結局それは、量派なのではとは言わないでおく。ここまでくれば、彼女が何を言いたいか、察した。
「夜鞠くんのせいじゃないよ。あのプリンをお腹いっぱい食べたいと願った私のせい」