小指も抱けない彼女
ーー
飲み物は器に、食事としてクリームパンとクッキーをベッド上に置き、俺は外出をしていた。
出来ることならば、小さくなった彼女と片時も離れたくないが、いつ戻るかも分からない彼女のために必要最低限のものを買えそろえなければならなかった。
ハンカチの拙い服では申し訳なく、おもちゃ屋に赴き人形の服を探すが、彼女に合うサイズの服がない。
メジャーで測った訳ではないが、俺の小指にも満たない彼女では、おもちゃ屋に並んでいる人形の服は合わない。合いそうなのは、二頭身のウサギ。ウサギのくせに二足歩行でフリフリの服を着ている不可思議な生物だが、横幅があるためアウト。
「作るしかないか」
服のベースもしくは参考としてのウサギを一体買っておく。
針と糸は百円均一にでも売っているだろう。
そのつもりで立ち寄った店で思いも寄らぬ収穫があった。
インテリアコーナーにて、小さな家具類が並べられていた。金具で作られた粗末なものだが、ベッドに机、棚まである。ミニチュアのインテリアを一通り買い占め、あるものを目にする。
ガラス蓋つきの木の箱。
小物入れとして使うものには、外側から鍵がかけられる仕組みになっていた。
「……」
つい、この中に入る聖を想像してしまった。大切な物は大切に保管しなければならない。宝物は宝箱へ、金品ならば金庫へ、そうして、生き物ならば逃げられないようーー
「なにを」
思っているんだかと、手にした小物入れを戻す。
事前に書いた買い物リストを見つつ、次の店はと考えるがーー頭から離れない。
あの入れ物に入った彼女が、あんまりにも綺麗に思えたから。
そんな残酷すぎるほどの考えが、堪らなく狂おしい。