つぼみ、ほころぶ
その場でもたついてたら、さっきのお姉さんが気づいて駆け寄ってきてくれた。


「似合ってます。とっても」


「あっ、ありがとうございますっ」


「羨ましいです。私、兄がいるんですけど、状況はあっちに近いんですよ」


そう言って、お姉さんはカズくんとユウちゃんの小競り合いを指した。その様子はまだ続いてて。


「靴はこれを、と預かりました」


「靴もっ!?」


そりゃあ、スニーカーじゃ合わないけど、まさかそこまでしてくれるなんて……。


驚くあたしの足元には、歩きやすそうなローヒールのパンプスが用意されてあった。
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