つぼみ、ほころぶ
「チイ遅い。金は気にすんなよ。今日だけの特別サービスだ。計画倒れになった卒業旅行レベルでもいいぞ」


「っ!? ――、……」


そんなこと、


「チイ?」


言われたら……。


「………………じゃあ、箱根、とか?」


ハンドルを握るユウちゃんの指が驚く。でもそれは一瞬のこと。


「――それはそれは、とんでもない行き先だな」


「卒業旅行で行くはずだったの」


「高校生が? しっぽりしてんなあ」


「旅行のグループにネットの温泉サークル会長がいたんだよ」

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