つぼみ、ほころぶ
いつも歩かない道は新鮮に、見慣れた景色でさえも、あまり乗せてもらうことがない昼間の車内からの景色は別の場所みたいに感じた。


あたしはついつい外の景色に心奪われる。


「チイ、ちゃんと考えろよ」


「だって、ウチはお父さんあんまり車乗らないから楽しいんだよ」


適度なスピードで走ってくれるユウちゃんの運転は、それでなくても心地いいんだ。


「ご近所ドライブで貴重なガソリン消費なんて、なんて非生産的なんだ……」


「ごめんごめん。ちゃんと考えるから」


だったら早くと急かされる。今日はこんなのばっかだ。大人合宿の一環なんだろうか。


答えを出すのが遅いあたしを見かねて、ユウちゃんも色々と案を出してくれるけどどれもしっくりこない。どうせなら、大きく頷ける場所へ行きたいと思うと、思考はどんどん深い場所へと堕ちていってしまった。
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