ため息をついた日
その後、二人で過ごす時間が増えていった。

好きだとか、付き合おうとか言われた訳ではないけど、ずっと昔から決まっていたことのように感じた。

二人の変化に何となく気づき始めたクラスメイトも、最初は『無理やり押しきられたの?』とか『嫌なことは嫌って言いなよ!』なんて優愛に言いに来ていたものの、次第にクラス公認、おしどり夫婦のような扱いに変わっていった。

高校を卒業して優愛は商業系の短大、諒哉はホテル関係の専門学校に進学した。その二年間はお互いにとても忙しく、会えない事の方が遥かに多かった。けれど充実していたからか、ケンカは一度もしなかった。


今回の事はケンカと呼べるか分からないけど、七年付き合ってきて初めてのケンカだ。
側に居ることが当たり前で、少しでも別れを考えるなんて思いもしなかった。

色々なことを思い出しながら歩いていたら、遠回りしたはずなのにあっという間だった。もう目の前にマンションが見えている。

優愛はもう一度、星空を見上げた。

そして心を決めて、家へと一歩踏み出した。




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