ため息をついた日
別れ話を切り出そうと思っていたのは自分だけではなかったのかもしれない。
(離れた方が良いのかもとは思ったけど、イヤだ!別れたくないよ!)
諒哉の話の事を考えると、初めて用意してくれた夕食も喉を通らなかった。
「…。…あ、優愛!」
大きな声を出されてやっと気付いた。
「え?な、なに?」
「パスタ、美味くない?全然食べてないけど。」
優愛は自分の皿を見下ろした。フォークは動かしていたけど、口には運んでいなかった。
「ちょっと、食欲無くて…。」
すると諒哉は、少しイジワルそうに笑って、
「優愛、一人で何か食べてきたんじゃないの?例えばそうだなぁ、ケーキ…チーズケーキとか?」
「な、なんで!た、食べてないよ!」
驚きすぎて、咄嗟にウソをついてしまった。(食べたといってもほんの一口分だし…。)
「本当か~?超怪しいけど…。」
と相変わらずニヤッとして言っていたけれど、急に真顔になった。
「ごめん。本当は話があるって言ったから、気になって喉通らないんだよな。」

先に話す、とフォークも置いて姿勢を正した。優愛もそれにならう。二人でいて、こんなに緊張したことがあっただろうか。
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