ため息をついた日
「ただいま。」
そう言いながら部屋に入ると、
「お帰りー。」
テレビから目も離さず、ごろっと横になったまま返事が返ってきた。

その後ろ姿を見て、軽くため息をつく。

買ったものを冷蔵庫に入れようとキッチンへ行くと、昼間食べたらしいカップ麺の器や箸がそのままシンクに置いてあった。またため息。

部屋着に着替えようと洗面所に行くと、洗濯物が散らかっている。またまたため息。時計を見ると、19時を少し過ぎた所。『この時間ならまだ大丈夫かな?』以前もっと遅い時間に洗濯機をまわしてしまい、下の階の住民から苦情がきたのだ。優愛は急いで洗濯の準備を始めた。
節約のため、お風呂の残り湯を使っている。
「貧乏くさいから止めない?」と諒哉には言われたけれど、実際貧乏だし、エコだからやめるつもりはない。

リビングに戻ると、諒哉がやっとこちらを向いた。
「優愛、腹減った!夕飯何?」

私は諒哉の母親か!そう思いながらも
「パスタだから直ぐに出来るよ。」
と言うと
「えぇー!俺、夜は白飯が良いって言ってんじゃん。」

フツフツと沸き上がってくる怒りをグッと堪えて
「ご飯これから炊くと時間がかかるから、今日はパスタで我慢して。」
「じゃあ、今日はそれでいいよ。明日は俺仕事だから、夜は絶対白飯な。朝のうちに準備していけよ?」
そしてまたテレビの前に横になってしまった。

さすがに堪忍袋の緒が切れた。
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