ため息をついた日
「私は毎日仕事してる!帰ってから洗濯して、片付けしてご飯も作ってる。明日は仕事かもしれないけど、今日は時間あったはずだよ。白いご飯が食べたいなら、自分で用意すれば良かったじゃない!」

優愛は今まで諒哉を責める様なことは一度も口にしてこなかった。諒哉は驚いた顔で振り返った。

「脱いだら脱ぎっぱなし。食べたら食べっぱなし。掃除も洗濯も食事の仕度も私。私は諒哉の家政婦でも母親でもない!」

優愛は鞄とコートを掴むと、家を飛び出した。

さっき通ったばかりの道を駅のほうへと小走りで行く。
諒哉が追いかけてくる気配はない。

こぼれ落ちそうになる涙を堪えるために唇を噛んだ。


家から歩いて10分程の駅前は、これから帰宅する人たちでまだあふれていた。
他の人にぶつからないように注意しながら、うつむきぎみに進んでいく。

「寒っ…。」
信号待ちの間、冷たい風が優愛の髪を揺らす。都内とはいえ、一月の夜は冷え込む。優愛はコートの襟元を掴むように押さえた。

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