私のファーストキスもらって下さい。




ーーーーーガシッ。



気付くと急に掴まれていた腕を
誰かに再び掴まれていた。




「何してんの、お前ら。」


「あれ、誠二じゃーん。」



私の腕を掴んでいたのは、誠二くんだった。
誠二くんの顔を見た途端にホッとして思わず、
抱き付いてしまっていた。


誠二くんは私をそっと支えると頭をなでなでしてくれた。



「お前ら、悪酔いしてナンパすんなよ。」


「わりーわりー。
てか、誠二この子知ってる子?」


「俺の妹。てか、中学生だっつーの。お前ら、犯罪者の一歩手前だったべ。」


「まぢかっ!あ、ご、ごめんね。」



私がコクンと頷くと、その人達はまた騒ぎながら祭りの会場のほうへ行ってしまった。



怖かったよ…


でも、助けに来てくれた。


いつもみたいに誠二くんが助けてくれた。



「鈴ちゃん、大丈夫?」


「うん。…でも、怖かった。」


「そうだよな。ごめんな、
あいつら俺の大学のダチなんだ。
飲みすぎなんだよ、馬鹿。」




今度ぶん殴っとくからなんて言ってる誠二くんを見つめてしまった。


カッコいいな、誠二くん。


あ、でも…


「誠二くん…彼女さんは…?」


「ああ、あいつね、帰った。」


「え、だって花火まだ…」


「友達のマンションから見えるんだと。」



呆れたように笑う誠二くんがそんな彼女さんをどう思ってるのか知りたかった。


でも、そんなの聞いてどうするの私…










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