雪の降る……

あふれる涙を ぬぐうことなく


遠く離れていく

ぴんと伸びた 背中だけを

見つめていた


青年が 一度も 振り返らずとも

ずっとずっと 見送っていた



何も聞こえない

……もう 何も見えない



残されたのは

不確かな約束と


まだ かすかに残っている

あの人のぬくもりと


……積もった雪の上に

点々と続く足跡


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