雪の降る……
す……っと 一粒のしずくが
青年の頬に 弧を描く
………彼女は
気づいてくれるだろうか
木の枝から パサリと
乾いた音を立てて 落ちる雪を 見て
青年は思う
気づいてくれるだろうか
私が死んで 雪になったら
雪になって
彼女の元へ 戻ってきたとしても
……それでも 気づいてくれるだろうか
………いや よそう
こんなことを考えるのは
青年は 苦笑をひとつ 浮かべると
重い荷物を 背負い直し
再び 歩き始めた