雪の降る……

………しかし

少女は 知っていたのだろうか


晴れやかに笑って 歩き出した

青年の 真実を


振り返らなかったのではなく

振り返れなかったことを


激情を 押さえるために 握られた拳


堅く閉ざされた瞳



もう一度 振り返って

駆け寄り 彼女を 抱きしめたら


今度こそ 離れられなくなると

解っていたから



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