ワインお作りします


「懐かしいな…。」

先輩は目を細めて空模様の封筒を見る。

「これ、今もらったんです。」

「え?」

先輩は目を丸くする。
そりゃそーだよね。

「そっか…なんだ…。てっきり君に嫌われたのかと思ってた。」

先輩は照れ笑い。

「好きな人、嫌うわけないじゃないですか。」

先輩は私の言葉でまた目を丸くする。
それから笑った。

私の一番好きな顔。

「ありがとう。」

お礼言われちゃ終わりだけど…。

「けど。それが君に届いていないから…彼女とこうして今日を迎えられたのかな。」

先輩は懐かしそうな顔をする。

それって私には複雑なんだけど…。
つまりは、ちゃんともらって話してれば今日は無いわけなんだよね…?
もっと言えば昨日の報告は無かった事になるんじゃないの…?

私の混乱は気付かず先輩は話を続ける。

「君の事見てるとね、必ず彼女と目が合うんだ。目が合うと彼女は照れたように笑うんだ。」

嬉しそうに話す。
その顔も知ってる。
昨日、現実で見た顔だ。


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