ワインお作りします


「先輩、今、しあわせですか…?」

突然の私の問い掛けに先輩はふんわり笑う。

「もちろん。」

その顔は私の親友に似ていた。

同じ顔をして笑う二人。
昨日、二人で放課後、私に報告をくれた時と同じ顔。

悔しいけど、その笑顔が私の好きな笑顔より素敵だったから諦めたんだ。


私は昨日と同じ言葉を先輩に伝えた。
昨日はどうしても伝えられなかった一言を添えて。

「しあわせになって下さい。おめでとうございます。」

「ありがとう。」

先輩はもう一度笑顔を見せた。


その笑顔を見た瞬間。
また視界が揺れた。





「戻ってきたんだ…。」

長い夢だった。
本当に夢かどうかも怪しい。

きっとあのワイン屋さんしか真実は知らないんだろう。

ワインを置いてあった場所を見ると、ワインは無くて、代わりに小さなブーケが置いてあった。

おそらく、結婚式の時のブーケ。

(やっぱり現実?)

けれどいる場所は自分の部屋のベッドの上。
間違いなく高校生のまま。


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