二年越しのバレンタイン

宮本に連れてこられたのは使われていない空き教室。

先に入るように促され、宮本はドアを閉めてから私の前にやってきた。


こうやって宮本と一対一で向かい合うのはあのバレンタインデー以来で緊張し足がガクガクと震えてくる。


「あのさ、話って何?」

早くここから逃げ出したくて思ってた以上にぶっきら棒な言い方になってしまった。


宮本は鞄の中をゴソゴソと漁って、ある物を取り出した。


「えっ、それは……」

見た瞬間、ハッと息をのんだ。

宮本の手に持っていた物には見覚えがあった。

少し色褪せているように見えたけど、私が二年前のバレンタインの時に用意した、チョコの箱を包んでいた包装紙とピンクのリボンだったから。


何で宮本がそんな物を持っているの?
公園のゴミ箱に捨てたはずなのに。


頭にハテナマークが浮かび、首を傾げていたら宮本が口を開いた。

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