私のお人形
――殺される。

そう思った。

しかし、私が見たのは思ってもいない光景だった。





セーラの青い瞳からとめどなく涙が零れ落ちていた。



一度えぐりとられた眼球をなんとかおさめたため、左右の目はアンバランスでとてもじゃないがかわいいとは言えない形相に変わってしまったセーラ。


「私が、醜く変わってしまったから?」


セーラは声を絞り出す。

誕生日プレゼントとして買ってもらったセーラ。

ピンクのドレスに金髪の巻き毛が愛らしいお人形のセーラ。

私はセーラが大好きで、急いで学校から帰ったわ。

セーラに早く会いたかったから。

でも、今は違う。

私はセーラに恐怖すら感じる。



それは、セーラが醜くなってしまったから?



セーラが生きているって知ってしまったから?



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