私のお人形
部屋はひどい状況になっていた。

割れた花瓶の破片がそこらじゅうに飛び散っていたし、チャックの血も滴っていた。

フリージアの花も無残に散らばっている。



「早く片さないと。ママが帰ってくる」


私はガラスの破片を一つ一つ手でつまんでちりとりに入れた。

チャックはあんなに血を流して大丈夫なんだろうか。

そんなことをぼんやり考えながら。

でもおかしいよね。

私を体をのっとろうとするような悪い人形をどうして心配しているんだろう。



「イタッ!」


考え事をしていたら、いつのまにかガラスの破片を握り締めていた。

私の手のひらには深く傷ができ、その箇所から出血している。



どうしよう…。

血が止まらないのに動揺して、私は傷口を見つめながらしゃがみこんでいた。
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