私のお人形
「ごめんね、ユリちゃん。電話探す時、ユリちゃんのことも連れて行けばよかったのに…」

ママは一言話すごとに涙声。

「ママ、私車にひかれたんだよね」

「そうよ」

「どんな車だった?」



ひかれる直前、運転席に座っていたのは人形だった。

見間違いじゃない。

あれはあきらかに人形。

黒いおかっぱ頭の女の子。



「それがね…不思議なことに、誰も乗っていなかったの」

「嘘!」

「運転手が自販機でジュースを買っている間に、起こった事故だって」

「そんな…」



じゃあ、私が見たのは…?

あの人形はなんだったの?
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