鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
一体幾つの電線を伝ってきたのか。

三浦とマットの二人は、モスクワ都心部に近い建物の屋上にいた。

既に体力は限界に近い。

無理もない。

何度も何度も落下しかけ、その度に両手でぶら下がったまま、腕力のみで電線を渡り切った事もあった。

握力も腕力もギリギリまで使い、これ以上電線を伝う事は不可能に近い。

しかし、そうやって筋肉を酷使した甲斐があった。

「見つけたぞ…」

マットが所持していた双眼鏡を覗く。

モスクワ都心部にある広場、通称『赤の広場』の真ん中に墜落したブラックホークヘリコプターの姿。

その残骸の中に、横たわる麗華とコートニーの姿が確認できた。

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