鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
マットが装填完了し、二人は再び墜落機への接近を開始する。

墜落機まではまだ10メートル以上ある。

普段ならば走ればあっという間の距離。

しかし、この瞬間にはとてつもない距離のように思えた。

どんなに進んでも縮まらない距離。

仕留めても仕留めても亡者達が行く手を遮り、腐臭と蛆の湧いた肉体をにじり寄せて襲い掛かってくる。

「マット、射線を開けろ!」

三浦がM203グレネードランチャーを発射する!

奥の手にと温存しておいた40ミリグレネード弾だが、もう使用を躊躇っている余裕はなかった。

マットもまた、残り一つだった手榴弾の安全ピンを抜いて投擲する。

爆発は二桁近い数のゾンビを巻き込んだ。

それでも焼け石に水でしかない。

1000万という数の多さ。

本当は1000万ではなく、どこかから際限なくゾンビ達が湧いて出てきているのではないか。

そう思わせるほどの圧倒的な数だった。

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