鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
手榴弾、M203グレネードランチャー、H&K USP。

次々と手持ちの武器が底を尽き、残るは小銃のみ。

その小銃すらも弾薬は残り少ない。

「装填!」

またマットのM16A2が弾切れになった。

三浦が射撃と、時にはCQCによる接近戦でゾンビを何とか食い止める。

もう三浦もマットも、無数にゾンビの噛み付きや引っ掻きによって傷を負っていた。

それでも死に物狂いの抵抗で、どうにか地面に組み敷かれる事だけは避ける。

押し倒されたら終わりだ。

二度と立ち上がる事なく、ゾンビ達の餌食となるだろう。

「まだかマット!」

ゾンビ達の腕に摑まれ、激しく身を捩って暴れながら叫ぶ三浦。

「くっ…装填不良!」

焦燥に駆られた表情でマットが叫んだ。

ゾンビの返り血や肉片を浴びたM16A2が、ジャム(弾詰まり)を起こしたのだ。

普段なら装填不良など簡単に直せるくらい、マット達は様々な状況を想定して訓練を積んでいるが、こんな亡者どもの包囲の中ではそれも間に合わない。

「うぐあっ!」

ゾンビの腕を振り払おうと大きく体を捻った拍子に、三浦の脇腹の傷が激しく痛んだ。

マットもまた、ゾンビ達に肩や腕を摑まれて動きを封じられる。

最悪の事態…!

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