鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
元帥の額に、頬に、首筋に、青紫色の太い血管が浮かび上がる。

異常なまでに紅く染まる眼球。

醜く肥え太った体は上着を引き裂くほどに筋肥大し、全身が血流の激しさからか紅潮する。

目の前にいるのは、権力を笠に着ただけの世間知らずな若造ではなかった。

最早人間ですらない、心を失った怪物に過ぎなかった。

その怪物が、咆哮する。

亡者に制圧された空母の頂上で、理性を失った雄叫びを上げる。

< 347 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop