ダブル・ブレイカーズ01
ということで。
<如月探偵事務所です>
彼方は営業マン風の口調で言った。
如月探偵事務所。
四階だてのこじんまりとした事務所だった。
ゴシック体で、如月探偵事務所と書いた看板があった。
<こじんまりしているの?>
<このほうが落ち着くんだよ。>
彼方はニコニコ笑って、
<あいつがな>
とボソリと言った。
<何か言った?>
<いや。別に!>
<そう?>
<それよりも、室内に参りましょう!>
<タメ口じゃないの?>
<雰囲気造りだよ。バスガイドみたいに>
彼方はドアに触れた。
<――――――何か緊張する!>
さくらは呟いた。
<どうして?>
<未知だもの。探偵事務所なんて>
<そうかもしれないな>
彼方はドアを開けた。
<それでは、室内へ>
彼方とさくらは中に入った。