白い羽と黒い羽
タイトル未編集
私は今年高校1年生になった
ずっと続けていたバスケを高校でもやっている
小学校からずっと続けていたバスケ。中学ではキャプテンをしていた
今日も部活の練習があった
今日は1対1の練習。
「桃、一緒に組もうっ」
ボールを抱えた小柄な子が寄ってきた
この子の名前は影谷風羽。
中学時代一緒にバスケをしていた友達。
『いいよっ』
私と風羽はすごく仲がいい
中学の時からずっと一緒にいた
「お願いします」
ボールを投げてくる
風羽がディフェンスで私がオフェンス
ボールが弾む
この感覚が、私はたまらなく好きだった
走って上がる息
床に落ちる汗
心を揺さぶるドリブル
そして…
バスッ
「あーぁ。また1点やられた」
風羽は苦笑いした
何よりも好きなのはボールがネットを揺らすこの瞬間。
『私に勝とうなんてまだ早いよ』
私は笑顔で汗を拭く。
風羽が頬をふくらませた
「なによっ、絶対にいつか桃なんか抜いてやるんだからっ」
『何年後になるかね?』
今度は風羽がオフェンスになった
ディフェンスの態勢になって風羽の手元だけを見つめる
風羽が左にドリブルをついた。
きっと風羽はフェイントを使ってくる
当然のように右へ切り替えした風羽
『パターンが一緒だよっ』
注意した瞬間、風羽の口角が微かに上がった気がした
左へ切り返してきた。

―――――――しまった!!

風羽は前方をドリブルで素早く進んでいく
追いつかなきゃ。
そんな気持ちだけが体を動かした
そして全力で走った時。

ブツン

何かが切れた音がした
何の音?今の。
訳が分からず走り出そうとした瞬間
私の視界が歪んだ
『え…』
気づいたら私は体育館の中央で動けずにいた
なにこれ。
なんで動けないの
なんか…足痛いし。なにこれ。
気づいたら皆が私を囲む
顧問は青ざめた顔をして携帯を耳に押し当ててる
風羽は泣きそうな顔になって私の体を揺する
「桃!なにやってんのっ!早く起き上がって!」
風羽…私、動けないんだよ
体が…言うこときかないんだ。
ただただ、足が痛い
ほかの部員が私の足を少し上に持ち上げた
激痛が走った
まるで岩がのっかって無理に動かされてるみたいに。
『いやぁぁぁぁあああぁぁぁぁああ!!』
痛くて悲鳴が出た
「桃!?」
そこで私の記憶は途絶えた。
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