フラれ女と男子高校生
次の日。
私は昨夜と同じ時間、あのベンチに腰かけていた。
手には洗濯をしてアイロンをかけたハンカチを握りしめながら。
しばらくぼーっと目の前を流れる人混みを見ていたが、私に近づいてくるひとりの人影に気付く。
「あ」
彼だ。
昨夜の彼が少し驚いた顔をして近づいてきた。
彼は昨日と同じく、制服に身を包んでいた。
「あのっ」
彼が目の前に来たとき、私は勢いよく立ち上がった。
驚いた顔をしていた彼だが、私の手のひらのなかにあるハンカチに気づいて小さく笑った。
「どうも。それ、返さなくてもよかったのに」
「いえ、そうゆうわけには…」