キミさえいれば
そうして、たもっちゃんが退院して二週間が経った日の夕方。


夕飯を食べている時だった。


「最近の凛、家に帰るの早いわね」


ふいに母さんが、そんなことを言い出した。


「生徒会が終わったし、部活も辞めたから」


「あら、そうだったの。だからなのね」


私はご飯を食べながら、うんと頷いた。


「ねぇ、凛。最近お兄ちゃんとは会ってるの?」


お兄ちゃん……と言われて、胸がチクリと痛む。


「ううん……。会ってない」


私が答えると、母さんはそう……とだけ言った。


しばらく続いた沈黙の後。


「引っ越し……するわよ?」


母さんがぽつりと呟いた。



思わず、ぎゅっと目を閉じる。


先輩……。


もう先輩に会えないなら、私がここに住んでる意味、ないよね?


それならもういっそのこと……。


母の言葉に、私はコクンと頷いた。
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