キミさえいれば
「ごめんな。

俺が凛を好きになったばっかりに、両親を離婚に追い込んでしまった」


たもっちゃんの目がひどく悲しそうで、私も悲しくなった。


「ううん……。

私もね、たもっちゃんが好きだったの。

会えない間、たもっちゃんを忘れた事なんて一日もなかったよ。

この気持ちが何なのか、考えた事なかったけど。

私も、恋してたのかもしれない……」


そう。


自分の兄に……。


「だから同罪……」

 
ぽつりと呟いた。


「凛も俺と同じように思っててくれてたんだ……。

すげー嬉しい……」


はにかむように笑う彼は、どこかあどけなくて少年のようだ。


先輩からは、たもっちゃんが見え隠れする。


なんだかすごく不思議で、でもとても愛おしい。


「凛、あのさ……」


「ん?」


「抱きしめてもいい?」


「え……?」
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