キミさえいれば
そして、中一の夏休み。


サッカーの練習が終わって、更衣室で着替えていた時だった。


同じサッカー部のヤツが、俺にこう言ったんだ。


「保の妹を紹介しろ」って。


それを聞いていた周りの先輩も、保の妹は可愛いだの、俺にも紹介しろだの次々に言い出して。


なんか俺、いたたまれなくなって……。


モヤモヤした気持ちのまま家に帰ったんだ。


そうしたら凛が、リビングで昼寝してて。


その顔が天使みたいに可愛くて。


誰にも触れさせたくなくて。


そう思ったら、身体が勝手に動いてた。


もう、止められなかった。


凛にそんなことをしたのは、その一回だけだけど。
 

まさかその時のキスを、母親に見られてたなんて気づきもしなかった。


そして、それが両親の離婚の原因だったなんて、想像すらしてなかったんだ……。
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