キミさえいれば
「ちょっと、今の話。マジで?」


生徒会室に響く重低音。


その声のする方を向くと、入口にチャラ男と短髪……もとい、岸先輩と浮田先輩がすごい顔をして立っていた。


「なに生徒会で2組もカップル作ってんだよー!」


やってらんねーと言いたげな浮田先輩。


「白石~、マジかよ~。保と付き合うの~? 俺、ショック~~~」


机になだれ込む岸先輩。


「お前はどう足掻いても、白石とは付き合えないだろう」


呆れ顔の黒崎先輩。


この頃は岸先輩を見ても怖くなくなったけど、最初の印象が強すぎてどうしても嫌悪感が拭えない……。


「あー! こんなことなら、正々堂々とアプローチすればよかったぁぁぁ~」


そう言って、机に突っ伏している岸先輩。


「お前ら、生徒会室では絶対イチャつくなよ。それだけは勘弁してくれ」


浮田先輩の言葉に頷く黒崎先輩。


「あぁ。ちゃんと公私は区別するよ。“お前らの前では”イチャつかない」


そ、それってどういう意味なのかな?


「くそーー! いやだぁぁ~!」


岸先輩、さっきからうるさいんですけど。


でも、黒崎先輩はなんだかずっと楽しそうだった。
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