アイツと私の世間事情
なんでこうなった…
それが只今、私の心境である。

時は数分前に巻き戻る。

*・。*゜・。・o゜・。*゜・。・o*゜・。*゜・。・o*゜・。*゜・。・o*゜・。

少し遅れながらも順調にスタートダッシュを決めた私は引いたくじを見て凍りついた。

そこにはなんと『猫耳メイドの服』となんとも言いがたい服が記載されていた。

周りを見ると同じように凍りついたような顔をした女子が数人いた。

いち早くその凍結状態から解放された女子に続いて特設着替えルームへ急ぐ。

そこにはくじで引いた服と靴がキッチリと並べられていた。

…この猫耳メイド服、着てみればわかるが結構恥ずかしい。
喉元に鈴まで着いているため、走る度に音がなるのも恥ずかしすぎる。

ただ一つ有難かった事はスカートがそれほど短く無かった事である。
他の人をみると、走るともう見えてしまいそうな(あえて何かは言わないが)スカートをはいている子もいた。

とりあえず、スカートで優位に立った私は特設着替えルームから素早く出ていち早くゴールへ走りだした。

…はずだったのだが、

「へぶっ」

変な掛け声と共に転んでしまった。

高めのブーツを履いていたため、運動神経最悪な私はヨタヨタしながら歩くのが精一杯だった。

いきなり現れた猫耳メイドが変な掛け声と共に転んだ事によって一瞬静まりかえった会場は一瞬にして笑いに包まれた。

「うぅ…恥ずかしい…」

顔を真っ赤にさせながらヨタヨタと歩く私をいつしか哀れに思ったのか少しずつではあるが、応援の声が増えてきていつしか会場全体を包み込むほどの大きな声援になっていった。


…いや、それもそれで恥ずかしいんだが。

そんな事を呟きながら無事一等でゴールできた事に感謝しつつ、もう二度としたくないと思った私であった。
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