アイツと私の世間事情
「あいたたた…」

保健委員なのに怪我するなんて、なんか間抜けだなぁ…と思いながらも、まだ痛む足をさすった。

実は慣れない高めのヒールで転びまくったせいか、私の足は真っ赤に腫れ上がっていた。

…この調子なら午後の部は休めるんじゃないかな?

少し期待をしながら誰に問う訳でもなく呟いた。

…いや、少なくともこの時までは誰も居ないと思ってた。

「へーえ、そんなに足痛いんだ 」

ま、自業自得か、と失礼な事を言う声が後ずけの様に聞こえた。

バッと後ろを振り向くとベッドの上でこちらを見ている中島がいた。

「い、いつからそこに居たの!?てか、なんで保健室に居る訳!?」

「ん?いつからって最初からだけど?あと俺も怪我したんだよ、ほらここ」

見ると少し紫色に変色した痣が腕にくっきりとあった。

「うわ、どうしたのこれ!?」

少し慌てながらまじまじと痣を見る。

「さっきの短距離走でぶっちぎりで調子乗ってるって言い掛かりつけられて先輩にやられた。」

さらっと何事も無いかの様に言っているが、ここまで変色しているとなると相当痛いはずだろう。

「あー、もうそこ座って!」

急いで冷やす物を用意してベッドに座らせる。

酷い痣は冷やすに限る、とばあちゃんに教わったからだ。

「はい、終わり」

十分に冷やし終わって痣もましになった頃、ぱたぱたと足音が聞こえた。

「!!」

その足音にいち早く気づいた中島はバッとベッドのカーテンを閉めた。
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