【短編】恋しちゃダメですかっ?
すっかり、人通りも少なくなった夜の住宅街に、カンカンとヒールの音が響きわたる。


二人の女性が、沖田家に向かっていた。


一人は真っ白な着物になぜか、真っ赤なピンヒール。

もうひとりは、花柄の着物に、大きな鞄を持ち、辛そうに歩いている。



「ああ〜重たい、小さい太鼓に、ろうそくに、忘れ物は、ないはずだわ。」


などと一人でつぶやきながら、歩きはじめる。


「まお先生、たしか、沖田さんち、この辺じゃあ…
あ、ありました。
やっと着きましたね。ああ〜重たいっ。」



「ぬこ助手、ああ、これはいけない。すでに、私は恐ろしいほどの霊気を感じていますのよ。」



どうやら、この二人が期待の祈祷師らしい。
一人はまだ見習いっぽいが、見習いの助手の着物がやたらと派手なんですが〜。




祈祷師から離れること、300メートル


ここにも、沖田家に向かう三人の女の子がいた。



< 28 / 83 >

この作品をシェア

pagetop