【短編】恋しちゃダメですかっ?
ぐわっ
…と、その時


白いモヤがかかり、ことねの部屋に温かな風が吹き抜ける。


小太郎の気配を感じたことねは


「小太郎なの…?」


『うん、ことね、願いをありがとう。
ちょっと恥ずかしかったけどね…。』


「あっ、いやっ…
聞いてたんだ?」



『うん。
あの…瞳を閉じてくれる?僕がいいよって言うまであけちゃダメだよ。』


ことねはゆっくりと瞳をとじる。



どのくらいの時間がたったのだろうか?


ことねにとっては、とても長い時間で。



『あけていいよ。』


小太郎の声が凄く近くで聞こえたような気がした。


ことねが瞳をあけると、透明だった小太郎の足がゆっくりと現れて


華奢なわりに少し筋肉のついた腕も見えてきて…


モヤのかかった綺麗な輪郭も、はっきりと
美しい瞳も
整った少し薄めの唇も



そこには、幽霊じゃあない、小太郎が姿を現していた。



ギャア〜


こ、小太郎ですか?

まさか、小太郎ですか?



あまりの出来事にずずずと後ずさりし、おもわず座りこむ。



そんなことねに小太郎は、手を差し伸べ。




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