今日、君が結婚します
たくさん泣いたから泉美のことはもういい。私だって彼女を裏切っていた。本当にお互い様だったと思う。



就職して初めて声を掛けてくれたし、時には一緒にご飯を食べに行ったりもした。


こんなことにはなってしまったけれどせめてその時だけは私のことを不要な人間だと思ってなければもういい。



私には寛子がいる。それだけで十分。




でも、大和くんには相談してほしかった。クリスマスに最後の思い出を作って終わりにするつもりだった。



それなのに、エンゲージリングなんて予想外のプレゼントをもらって何も説明されずに泉美のところに連れて行ってあんな衝撃的告白を聞かされるなんて思いもみなかった。




なんで話してくれなかったの?



「・・・10年前の復讐だよ」



同じようにマグカップを包み込むように持ちながら大和くんは私と視線を合わせず前を向いて淡々と口を開き始めた。
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