今日、君が結婚します
「そんなことどうでもいい。どっち?ねえ、亜希子。教えてよ、どっち?」



言えない。言えるわけない。
泉美も川島さんも裏切るようなこと。



でも『亜希子』と呼ばれたのは初めてで。その甘美な響きに心がとらわれる。


裏切ることをすれば
きっと私も裏切られる。




「亜希子が俺を選んでくれるなら俺はもう誰もいらない。亜希子だけがそばにいてくれればいい。信じられないかもしれないけれど亜希子に再会してから俺、毎日ドキドキしてる。こんな気持ちになるのは10年前、ただひたすら亜希子を思っていた以来なんだ」

トクトクと早鐘のように聞こえる松原くんの心音。


こんなの聞いちゃったら歯止めが効かない。ダメなのに、裏切ることになるのに。


それでも、それでも、
ただあなただけを求めたい。




「・・・大和くんが好き」
< 78 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop