彼が虚勢をはる理由





あぁ……。夏野君は、こんな感じで喋る人なのか。
何か凄く新鮮。

私は思わず吹き出した。


「大丈夫だよ。何も付いてない」

「そうか?」


一通り、自分で顔をペタペタと触って確認をしてる夏野君。
普段は殆ど喋らないイケメンがそれをやってるからこそ、なおさら面白い。
ひょっとして、夏野君はギャグ担当なの?

――顔を触り終わって、確認が終わったらしい夏野君。
私はちょっと、ニコニコというか、ニヤニヤが止まらない。


「そうか、じゃあ」

「じゃあね」


ぶっきらぼうなまま夏野君が行ってしまい、一人残される私。
金髪ピアスなイケメン夏野君の意外な一面を知る事が出来て、私は凄く満足だった。


夏野君はせっかくのあのルックスなんだから、あのキャラを全面に出せば、もっとクラスでも人気者になれるし、女子にもモテモテだろうにね。
笑いの中心になるのは間違い無い。

……なのに夏野君は、何でそれをやらないのかな?
あんなに面白い感じで話すのに、部活の質問には答えてくれなかったし。
何か理由でもあるの? それとも、個人のプロフィールを突っ込まれるのが嫌なの?





.
< 12 / 145 >

この作品をシェア

pagetop