彼が虚勢をはる理由





「そうか! それは良かったね!!」


私はテニスに詳しくないけど、舞子が部活で活躍していれば、やっぱ嬉しい。
しかも舞子は成績も良いから、文句のつけようがない。
……しかし、舞子といい、ハルといい、オシャレや部活と両立しながら、勉強も頑張れるって凄いなぁ…。
私がそれをするには、とにかく英語が邪魔すぎる。


「ありがとう、香苗。頑張るね」


舞子の頑張りや努力は、この謙虚さがパワーになってるんじゃないかって気がした。
成績が悪いから頑張ってるけど、思わずチョコチョコと色々な物事に突っ込んでしまう私とは、大違いだ。


「……もっとも、今は梅雨で、秋の大会はまだ先だけどね」


…しかも、私のお株である突っ込みを、舞子に冷静に取られてしまった。
そりゃそうだ。秋の大会は、夏休みの後だしね。
それは、舞子が夏休みに、いかに頑張れるかにかかってる。
全ては舞子次第、だからこそ頑張って欲しい。


「やば。もう五時間目が始まっちゃう」


時計を見上げた舞子が声をかけてくれた。
時間割を確認すると、五時間目は私の苦手な英語グラマーだった。


「やっば! ごめん舞子、私、予習の確認しなきゃ!」

「うん。次の授業も頑張ろうね」


私が慌てて立ち上がると、彼氏と昼食を食べてたハルも、教室に戻ってくるのが見えた。




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