ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
今まで頼もしく見えた広い肩が、小刻み に震えている。
涙声で、海君は語り続けた。
「その大切な人ってのは、雨宮夜空って いう中学時代の同級生なんだけど……。
彼女には何もしてやれなくて、結局傷付 けてばかりだったけど、俺ってバカだか ら、こんなに彼女のことが好きなら、彼 女を幸せにできるのは自分しかいないと か思っちゃうんだよ。
一度フラれた身なのに図々しいんだけ ど、どうしてもその子のこと好きで、彼 女と過ごしたあの頃の続きをしたいって 思ってしまうんだ」
なんだか、今までで一番かっこ悪い海 君。情けなくて、鼻水たらしてて、力強 くも何ともなくて――。