ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ

結果から言うと、二人目の人ともうまく いかなかった。

友達時代には理解があって面白く、一緒 にいて飽きない相手で、『この人となら 確実に幸せが続く』と予想していた。

最初の一ヶ月くらいはうまくいっていた と思う。大学生という立場もうまく作用 し、自由に会える時間も多かった。

その人とは同じ大学だったから、授業の 話もしやすかったし、共通の知り合いも いて、どれだけ会話を重ねても話題が尽 きなかった。

ただ、何というか……。変な部分で自分 の悪さを認めない、プライドの高さが、 彼の長所を台無しにしてしまうのだ。 『付き合いが長くなるにつれて欠点が見 えてくる』という典型だったのかも。


彼は一人暮らしをしていたので、泊まり に来るよう頻繁に誘われた。必要とされ ていることが嬉しく、私はすっかり彼の 好意に甘えてしょっちゅう泊まりに行っ ていた。

冬休み明けに、別れのカウントダウンは 始まるとは知らずに……。


1月中旬の寒い朝のことだった。彼のア パートに泊まった翌日、私達は二人そ ろって午前の授業に遅刻してしまった。

私の方は、出欠の確認をしないゆるい授 業だったので遅刻しても大丈夫だったけ ど、彼の方の授業は、遅刻に厳しい教授 が受けもっている。

いまさら起きて支度をしても間に合わな い。彼は、不本意ながら単位を一個もら えなくなってしまったのである。

彼は、あきらめ半分、焦り半分な気分 を、ためらいなく私にぶつけた。

「ヨウが寝坊するから、俺も寝坊した じゃん……。ったく……。早く起きて よ」

信じられなかった。なぜ、私が責められ なくてはならないのか。納得できない。

私も腹が立ったので、彼と同じ、イラつ いた口調で言い返した。

「だったら、最初から自分で目覚ましか けておけばよかったじゃん……」

それに対して、彼はバツが悪そうに、 「そうだけど、でも……」と、グチグチ 言い訳をし、私に謝ることはなかった。 もちろん「悪いこと言ったなぁ」という 罪悪感もなかったと思う。
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